算数実戦編問35の解答

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<解説>

解いてみたらとんでもなく長寿な答えになりませんでしたか?
もしそうなってしまった場合は、この問題に仕掛けられた“罠”に完全にかかってしまってます…

今の乙さんの年齢をとすると、今の甲さんの年齢はですね。
年齢はもちろん整数ですから(「私の年齢は20歳と3ヶ月です」という言い方をする人がたまにいますが、年齢は“年の数”のことなので、この言い方は正しくありません)、 年齢差は3−1=2の倍数です。
次に、「甲さんの年齢が今の乙さんの年齢のちょうど4倍だった」ときの乙さんの年齢をとすると、そのときの甲さんの年齢はなので、年齢差は4−1=3の倍数です。
以下同様に考えると、甲さんの年齢が今の乙さんの年齢のちょうど5倍だったときを考えると、年齢差は5−1=4の倍数、
……(途中省略)……、
甲さんの年齢が今の乙さんの年齢のちょうど8倍だったときを考えると、年齢差は8−1=7の倍数。
とわかります。
まとめると、2人の年齢差は、2の倍数でも3の倍数でも4の倍数でも5の倍数でも6の倍数でも7の倍数でもあります。

年齢差はつねに一定なので、年齢差は2,3,4,5,6,7の最小公倍数を考えればよく ……
……ちょっと待ってください。 それは本当に正しいでしょうか?
(実際、2,3,4,5,6,7の最小公倍数は420という、とんでもない数になってしまいます。)

よーく考えてみると、2人の年齢差は(誕生日が異なっている場合)違ってくる可能性があります
「え゛っ??」と思ってしまう方もいらっしゃるでしょうから、このことについて詳しく書いてみたいと思います。

例えば、2000年1月1日生まれのA君と2002年4月1日生まれのB君の年齢差を(B君が生まれた時から)考えてみましょう。
2002年4月11日には、A君は2歳、B君は0歳。 年齢差は2です。
では、2003年1月11日には、A君は3歳、B君はやっぱり0歳。 年齢差は3です。
年齢差は2→3→2→3→…という風にうつり変わっていきます。
というわけで、誕生日が違う2人の場合、年齢差は連続する2つの整数になる可能性があるのです。

※このような思い込みが生じてしまう原因の一つに「年齢算」が考えられます。
この手の基本問題は『年齢差はつねに一定であること』がポイントとなることがほとんどです。
では、このポイントは実は大間違いか、というとそうではありません。
年齢算では「…となるのは何年後(何年前)ですか?」と問われることが多く、この場合はちょうど1年後、2年後、3年後、……の時の年齢差しか考えないということですから、誕生日が違っていても年齢差はつねに一定になるのです。

結局、連続する2つの整数(のどちらか一方)が2の倍数・3の倍数・4の倍数・5の倍数・6の倍数・7の倍数になるような最小の組を見つければよい、ということになります。

年齢差が7の倍数になるときに注目します。
そうするとあとは年齢差が7の倍数をふくむ場合をしらみつぶしに、年齢差が「6と7のとき」、「7と8のとき」、「13と14のとき」、……と調べてもそれほど手間はかからないでしょう。
でもここでは、もう少し工夫して考えてみます。

7の倍数の時の年齢差を●、そうでないときの年齢差を■としたとき、●か■のどちらか一方は当然5の倍数です。

<ケース1.●が7の倍数でもあり5の倍数でもあるとき>
●は、5と7の公倍数の35の倍数です。
年齢差が34と35のときには「3の倍数」などは存在しないので不適ですが、年齢差が35と36のときは、35が5,7の倍数、36が2,3,4,6の倍数のため適します。
したがって、年齢差が35と36のとき、が有力な候補となります。

<ケース2.●が7の倍数であるが5の倍数ではないとき>
5の倍数の一の位は0か5だから、連続する2つの整数にするためには、7の倍数のときの一の位が9か1か4か6になります。
「もっとも若い年齢」を調べればいいため、年齢差が35と36より大きい場合が見つかっても意味がありませんから、36以下でそのような整数を見つけると、「14と15」、「20と21」の場合がありますが、どちらも条件に合いません。

したがって、2人の年齢差は35と36、となります。

今の甲さんと乙さんの年齢差はで、これが36(年齢差が2の倍数の方)にあたります。
よって、現在の甲さんの年齢は、36÷2×3=54歳、と求まるわけです。

正解;54才


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